エンジニア転職は在職中に進めるべき?スケジュールと注意点
転職を考え始めたとき、最初に迷うのが「先に辞めてから探すか、働きながら探すか」だと思う。結論から言えば、エンジニアの転職は在職中に進めるのが圧倒的に有利だ。doda の調査では転職成功者の約9割が在職中に活動していたというデータもあるし、筆者の周囲でも「辞めてから探して正解だった」という声はほとんど聞かない。
ただ、在職中の転職活動には独特の難しさがある。日中は仕事があるからスケジュール調整が面倒だし、社内にバレるリスクも気になる。この記事では、在職中に転職活動を進めるための具体的なスケジュールの組み方、注意点、そして退職のタイミング判断まで一通り整理する。
在職中に転職活動するメリットは「交渉力」と「冷静さ」
在職中に転職活動をする最大のメリットは、焦らなくていいことだ。辞めてから転職活動をすると、無収入の期間が長引くにつれて「早く決めなきゃ」というプレッシャーが強くなる。その焦りが、本来受けるべきでない企業に飛びついたり、年収交渉を諦めたりする原因になる。
在職中であれば、今の給料が入り続けている状態だから、内定が出ても「ちょっと条件が合わないな」と思えば断れる。この余裕が、結果として年収交渉の強力な武器になる。「現職に残る」という選択肢があるだけで、企業側から見たあなたの交渉ポジションは大きく変わる。
もうひとつ見落とされがちなのが、職務経歴書に空白期間ができないこと。エンジニアの場合、数か月のブランクが致命傷になることは少ないが、面接で「この期間は何をしていましたか」と聞かれるのは単純にストレスだ。在職中に動けば、その心配がそもそも発生しない。
在職中の転職スケジュールの組み方
エンジニアの転職活動は、準備期間を含めて3か月程度を目安に考えるとちょうどいい。大まかに分けると、最初の2〜3週間が情報収集と職務経歴書の準備、次の1〜2か月が応募と面接、最後の2〜3週間が内定後の交渉と退職手続きという流れになる。
在職中にこのスケジュールを回すコツは、平日夜と有給をうまく使うことに尽きる。まず、カジュアル面談やエージェントとの初回面談はオンラインで平日夜に設定できることが多い。19時半〜20時半あたりの枠を用意してくれる企業やエージェントは今では珍しくない。リモートワークの普及で、昼休みの1時間にカジュアル面談を入れるパターンも増えた。
本選考の面接になると、企業側のスケジュールの都合で平日日中を求められるケースが出てくる。ここで有給の出番だ。選考が進んでいる企業が2〜3社あるなら、同じ日にまとめて面接を入れて有給1日で2〜3社回すのが効率的。面接のためだけに毎週有給を取っていると不自然に映ることがあるので、「通院」「役所の手続き」など当たり障りのない理由を用意しておくといい。
もうひとつ有効なのが、カジュアル面談を活動の初期にたくさん入れること。カジュアル面談は選考ではないので、気負わず企業の雰囲気を掴める。ここで企業の温度感を確認してから正式に応募するかどうかを判断すれば、本選考の数を絞れるぶん有給の消費も最小限で済む。
会社にバレないために気をつけること
在職中の転職活動で地味にストレスなのが、今の会社にバレないかという心配だ。上司に知られて気まずくなったり、異動や評価に影響したりするのは避けたい。いくつか具体的に注意すべきポイントがある。
まず、SNS での発信には気をつけたい。X(旧Twitter)で転職エージェントのアカウントをフォローしたり、「転職考え中」のようなポストをしたりするのは論外として、LinkedInのプロフィールを更新するだけでも通知が飛ぶことがある。LinkedInの設定で「プロフィール更新の通知をオフ」にしておくのは基本中の基本だ。
次に、有給の取り方。前述のとおり、毎週のように半休や有給を取ると目立つ。面接はできるだけまとめて入れる、リモート勤務の日に合わせるなど、パターンにならないよう意識するだけでだいぶ違う。「最近やけに有給取ってるね」と言われたら黄色信号だ。
会社の PC やメールアドレスで転職サイトに登録するのも避けたほうがいい。情シスが通信ログを見ていなくても、ブラウザの予測変換に転職サイトが出てくるだけでリスクになる。転職活動には個人のスマホや自宅のPCを使うのが鉄則だ。
転職エージェントを利用している場合は、勤務先の企業に対してレジュメを非公開にする設定があるか確認しておくといい。大手エージェントならほぼ対応しているが、スカウト型のサービスでは現職の関係者に自分のプロフィールが表示される可能性がゼロではない。
退職のタイミングと内定承諾の順序
在職中の転職活動がうまく進んで内定が出ると、次に考えるのが「いつ退職を切り出すか」だ。ここの順序を間違えると厄介なことになるので、正しいステップを押さえておきたい。
大原則として、退職を申し出るのは内定を承諾した後だ。「内定が出そうだから先に退職を伝えておこう」と考える人がたまにいるが、これは危険。内定取り消しのリスクはゼロではないし、条件交渉の結果次第では辞退する可能性もある。退職を先に切り出してしまうと、後に引けなくなる。
具体的な順序は、内定通知の受領、条件面の確認と交渉、内定承諾、退職の申し出、退職日の調整、入社という流れになる。年収交渉のタイミングと進め方で詳しく書いているが、条件面の交渉は内定承諾前に済ませるのが鉄則だ。
退職日の設定については、法律上は申し出から2週間で退職できるが、現実的には1〜2か月の引き継ぎ期間を求められることが多い。転職先にも「現職の引き継ぎがあるので入社は○月○日を希望します」と事前に伝えておけば、たいていは待ってくれる。内定承諾から入社まで1〜2か月の猶予をもらうのは一般的なので、遠慮する必要はない。
注意したいのは、退職交渉が長引くケースだ。上司や人事から強い引き止めにあって退職日が後ろにずれると、転職先の入社日にも影響する。こうしたリスクを考えると、退職日の希望は少し余裕を持って設定しておくほうが安全だ。就業規則に「退職は○か月前に申し出ること」と書かれている企業も多いので、内定が出そうなタイミングで自社の就業規則を確認しておくのも忘れずに。
まとめ
エンジニアの転職活動は、在職中に進めるのが基本戦略だ。収入が途切れない安心感が冷静な判断を支え、「現職に残る」というカードが年収交渉の武器になる。スケジュールは平日夜とカジュアル面談をフル活用し、本選考は有給をまとめて使って効率的に回す。会社へのバレ対策は、SNS・有給のパターン・使用端末の3点を押さえておけばほぼ問題ない。
退職の申し出は必ず内定承諾の後。この順序だけは絶対に崩さないようにしたい。退職から入社までの流れを含めた全体像は円満退職の進め方ガイドで詳しく解説しているので、あわせて読んでおくと転職活動の全体像がクリアになると思う。